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ノムリエの「好みは人それぞれ!」


ノムリエの追言
「好みは人それぞれ!」


MICHIGAMIワインの道上です。

前回の独り言へ数多くのお返事を頂きありがとうございました。
皆様のご意見・ご感想は大変参考になります。
どんどんお送り頂けると嬉しいです。
それでは今回の独り言です。

今まで飲んだ中でボルドーの赤ワインが一番美味い、
と思っています。他のワインと何が違うのでしょう。


ワインの歴史、生産量、どれをとってもボルドーは世界を圧倒しています。
フランス史上2度もボルドーに首都が置かれたことをご存知ですか。
フランスにとってそしてヨーロッパの歴史においてボルドーは
大変重要な都市です。

イギリス領であったことがあるボルドーはイギリスの影響を強く受け、
ワインは重要な輸出品でした。
現在では瓶詰めが一般的なワインですがそれまでは樽、そしてその前は
陶器に詰められていました。
陶器は馬車で運ぶと壊れやすいためもっぱらガローヌ川、ドルドーニュ川、
ジロンド川の水上交通路を利用した輸送が中心でした。
そしてイギリスが世界を席巻し大英帝国と呼ばれていた頃、そのイギリス
によってボルドーのワインは一気に世界に広まりました。

その名残でいまだにヴィンテージものの高級ワインはフランスよりも
ロンドンやニューヨークの方が比較的安いようです。
オークションも必ずしもフランスの倉庫保管とは限りません。

しかし今でも高級ワインが世界で最も安いのは日本ではないでしょうか。
海外から日本にワインを買付けに来るケースが最近まで有りました。

10数年前は中国人がやたらとラフィット・ロスチャイルドを買い付けに来ていました。
弊社で7万円で売ったワインが中国では77万の卸値段で取引されていました。

10年前あたりから中国でも下がり始めていますが20年前まで
一部の高級ワイン が中国の投機筋により急騰しました。

一方オーパス・ワン ロマネ・コンティなどは日本が一番高いのではないでしょうか?
一時期シャトー・マルゴーも高くなりすぎていました。

こんな特殊な例は別としても
ボルドーの赤ワインだけが美味しいわけではありません。
が、私はボルドーの赤ワインが一番好きです。
これは好みの問題で飲みなれているせいかもしれません。

私は40年程前から20年間ほぼ毎月仕事のため
イタリアに行っていました。
その間イタリアのワインは相当飲みましたし、輸入もしました。
しかし北イタリア・ピエモンテのワインはどうしても好きになれませんでした。
樽を焦がしたような味と臭いに消化不良をおこす気がするのです。
しかしながら日本にはイタリア料理店の数はフランス料理店の数の10倍もあります。
私にとっては現在イタリアのワインは高くなりすぎて手が出ません。

慣れというのは怖いものです。
先週もお伝えしましたが私は市販されているマヨネーズを食べると
気持ちが悪くなります。
でも食べ慣れている為、市販のマヨネーズが好きな方はたくさんいらっしゃいます。

フランスのワインよりもイタリアのワインの方が好きだと言う方が多いのは
日本ならではです。
ヨーロッパでは考えられないのです。
イタリアのレストランでフランスのワインが置いていない所は少なくないですが、
フランスのレストランでイタリアのワインが置いてある所は
殆ど有りません。
それがヨーロッパの常識です。

ボルドーのワインでも上手に買えば安くて美味しい物が
いくらでも手に入ります。
ボルドーの高級ワインは15年ごとに安くなったり高くなったりすると
フランスの友人が言うのですが、今は上手に仕入れれば物の割には
安く買える 時期だと思います。

ところで日本のソムリエはやたらブルゴーニュワイン(ピノノワール)を
勧める傾向があるようです。
なぜだかわかりません。
きっと日本のフランス料理があっさりしているからだと思います。
凄腕シェフはボルドー(カベルネ・ソービニョン)を勧める事が 多いようです。
メルロよりもです。料理との相性だと思います。
料理無しだと メルロの方が飲みやすい場合が有りますが。

お酒でアルカリ食品は赤ワインだけです。
他の酒類はすべて酸性食品。
10数年前から赤ワインのポリフェノールが話題になりましたが
身体に良い理由はそれだけではありません。
40年程前のスイスの新聞が発表した統計にボルドーの赤ワインを
飲んでいる人がガンで死亡しない確率は83%というのがありました。
戦前からボルドーの赤ワインを粉末にしたものを心臓病の特効薬に
している製薬会社が多いのには驚かされます。

私のイタリアの友人が心臓発作を起こしたとき、医者にボルドーの
赤ワインを飲むよう言われたと聞き、ボルドーから120本送ったこともあります。
ボルドーの赤ワインが身体に良いと書いてある本はたくさんあります。
なぜボルドーなのでしょうか。
土壌でしょうか。
ブドウの品種でしょうか。
いまだ明確には解明されていません。

ボルドーの赤ワインのポリフエノールには
多くのレスベラトロールと言う成分が含まれていると
話題に成っていますが、このレスベラトロールという成分を
いち早く発見したのが何と北海道大学の教授であり。
70年以上前の事でした。

ボルドー赤ワインのしっかりしたものは 身体にも良いとされています。
今流行のアンチーエイジング、放射線治療、放射線予防
きりが無いほどですが
飲み過ぎなければですね!

追伸:私の持論は、野菜もフルーツにも皮と種に栄養が有ります。
ワインは皮も種も潰すと赤い色に成ります。
早くもち麦が食べたい!



【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。




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ノムリエの追言「カレーもワインも健康にいい!」


ノムリエの追言
「カレーもワインも健康にいい!」


先週のカレーの話ではカレーのルーに、にんにくや生姜を入れるという話をしました。 にんにく&生姜 生姜は3ミリの厚さに切って3時間蒸し、天日干しを2日、陰干しでしたら1週間。

こうすると約十倍の効果がでます。 身体は暖まり風邪なんぞはすっ飛んでしまいます。 勿論これをカレーに入れるわけです。 効きますよ!

京都の仏教医学のマスター曰く、 人間の粘膜は広げると面積が約800m² になるそうです。 その80%が消化器系。 喉は一番大事な所だそうです。

風邪をひいたら酢に塩をスプーン2杯入れてよくかき混ぜたものでうがいをしてしてみて下さい。 2~3回うがいをしたら最後に普通のお水でうがいします。 喉の痛みは取れ風邪も治ります。
何故って?人間は酢と塩で出来ているからです。
これはコロナ予防にも効きます。

市販されているイソ何とかなどは喉にいる良い菌まで殺してしまうので止めた方が良いそうです。 「ではなく何故今そんな話を?」 ・・・・はいはい。
実は鬼の何とかで2ヶ月前に僕は風邪をひきました。 十数年ぶりの出来事です。
これもカレーを食べられなかったせいです!?

手作りマヨネーズちなみによくオードブルで作るのが、ゆで卵に蟹をつめてマヨネーズをかけたものです。 マヨネーズは市販されているものは気持ち悪くなるのでもっぱら手作りです。

卵の黄身2個にマスタード、塩・コショウを入れ、1年寝かせた エクストラ・バージン・オリーブ・オイルを少しづつ加えてかき混ぜていきます。
蟹に非常に合います。
水っぽく成らない様に作るコツは、先ず黄身の状態のままで泡だて器でかき混ぜる。

これらには シャンパーニュ・白・ロゼ・赤何でも合います。

生ハム我が家にはいつも生ハムがあります。
普段はハモン・イベリコ・べジョータ(スペイン産)ですが、 今我が家に有るのは ジャンボン・ドゥ・バイヨンヌ (フランスのピレネ山脈に程近いバスク地方産)です。 あっさりしています。

ハモン・イベリコ・ベジョータはスペインのジブラルター海峡から 西北に数十キロほど行ったところのものが本物。

生ハム足のつめが黒く赤いラベルが貼ってあります。 パリーの三つ星レストランの殆どはこれです。 どんぐりだけを食べて育っていますから脂が美味しい。

生ハムは毎日食べないと少し硬くなります。
この硬い部分を細かくスライスしてサラダに入れますが、 カレーには大きめに切って食べる20分前にカレーに入れると うまく塩分が抜けて非常に美味しい!
最後に残った骨は捨てない!最高の出汁が取れます。

いずれにせよワイン無しでは成り立たない食事です。



【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。




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ノムリエの追言「世界一のカレー!」


ノムリエの追言
「世界一のカレー!」



(1)
玉ねぎ20個をくし形に切ったものを炒める。
マトンでブイヨンをとる。
これはあくまでもルーの為で、
骨・肉は十分ダシをとったら捨てる
(2)
奥の右の鍋には世界一と言われている牛のすね肉。これは塩コショウでこんがり焼いた後、2日半、煮込む必要がある。
左上の鍋のトリッパ(牛の胃袋)、
これは約4日間ほど煮込む必要がある。
(3)
玉ねぎはバターで飴色になるまで炒める。
(4)
飴色になると、まるでリンゴのコンポートのような甘さ。そこにニンニクと生姜を入れる。
(5)
カレー粉をいれた後は、ジョンカードの赤ワインを2本入れる。後は、鷹の爪、ニンジン、ジャガイモ、何でも好きな野菜を入れる。

ナンで食べてもいいし、
クスクスにぶっかけるのも良し。

一番好きなのは、100%のもち麦しかも精麦されていないものに ぶっかけると最高です。


私は古臭い家庭の育ちで台所に入ることを禁じられていました。
だから料理の事は一切わかりません。
しいていえば、食べるの大好きで、カレーは過去に数十回作ったことがあります。

食べた人は必ず世界で一番おいしいカレーだと言ってくれる。
でも世界で一番お金と時間がかかっているカレーでもある。

ポイントは玉ねぎを多くたくさん使う事によって唐辛子の辛さ、ニンニク、生姜を和らげることができる。 ただし、炒めるのに2時間かかる。

もう一つのポイントは、マトンでブイヨンをとる。
脂が結構出るために渋めの強いワインがうまくマッチングする。
ただ、まずいワインを入れると、せっかく時間をかけて作ったカレーがパーになってしまう。 高級でなくてもいいから、美味しいワインを使う。

カレー好きな友人の為に必死でつくったが、
結局ほとんどみんなに食べられ自分の胃袋にはほとんど入らなかった。

このカレーはワイン無しでは食べられない。特にボルドーの赤が合う。
お寿司よりも和食よりも、お蕎麦よりも、このカレーは絶対にワインに合う。



【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。




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ノムリエの追言「ワインはご飯だ!」


ノムリエの追言
「ワインはご飯だ!」



こんにちは。
MICHIGAMIワインの道上です。

今日は自己流の飲み方をお伝えします。

日本の酒飲みは、
僕はこの酒しか飲まない、焼酎は芋だとか、いや麦だとか、
好みのものがあってそれ以外は飲まないという方が結構います。
実はワインもそうなんです。
フランス人はワインを飲まなくなったとは言うものの
未だ一人頭年間30リットル以上飲んでいます。
日本人の10倍以上です。

そしてボルドーしか飲まない方も多いのですが、
基本的にまとめ買いしたものを飲んでいる方が未だに多いのです。
中には1,200本単位で買う方もいらっしゃいます。
沢山のワインを持っている事は喜びでもあり当たり外れのない買い方です。

しかも 一つのワインをずっと飲み続けると ワインに対する一つの基準が出来、
年間通すと 寒かったり暑かったり湿気が多かったり少なかったり、
又食べ物によっても大きく変化します。

日本人は毎回毎回違うお米を買いますか?
多くの方はご自身のお好みのお米が有るのではないでしょうか?
毎回違うものを選ぶのは おそらく外国の方では?
あくまでもワインは食事をサポートするものでメインではありません。
だからこそ美味しくてリーズナブルなワインがありがたいのです。

フランス人は多くの日本人が毎回毎回違ったワインを
首をかしげながら飲む姿を見てびっくりします。
しかも何も食べないで赤ワインを飲む姿を見て僕もびっくりしてました。
おかず無しでご飯を食べるでしょうか?
ワインは料理のソース、と僕は40年前から言っていたのですが
最近某有名人が「ワインは最後のソース」と言ったとかで今回は
ご飯に例えてみました(笑)。

以前フランス最大級の酒会社のシャンパーニュの責任者と
虎の門でランチをした際のお話です。
彼曰く、あるイタリアン・レストランで、ワイン・リストを見て
ビールを頼んでしまったそうです。
さすがに奥さんが「貴方フランス人?」
といって驚きましたが、
僕には良く分かります。
まずいビールはありません。
好きか嫌いかです。
不味いワインは有ります。
頭が痛くなるワインは有ります。
それでも平気でそんなワインを飲む日本人の多い事!!
がっかりします。

ワインは気取ったものではありません。
美味しい飲み物です。
格付けワインだとか 高級ワインだとか言い出したのはこの40年のこと。
それまでフランスではあまり能書きは言いませんでした。

ここ50年間でワインの飲む量が3分の一に減ったフランスでは
値段が高騰しました。
日本ではあまりお酒を飲まない方がワインを飲んでいます。
酒豪は日本酒に焼酎!
能書きを言わないでワインをがぶ飲みしましょう!

道上

日本では富の象徴として「蔵が建つ」と言います。
酒蔵も有りますが 基本は米蔵でしたね。
フランスではブドウ畑を南方の方でCote(丘)東の方ではDomaine (領域)
南西のボルドーではchateau (城)と呼びます。
ワインを沢山持つと言ことが富の象徴であったフランスでは、
ブドウ畑を持つことが国民の夢でした。
ボルドーのブドウ畑にはお城が多く
そこでブドウ畑の名称がシャトーになったのです



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ノムリエの追言「ワインの酸化」


ノムリエの追言
「ワインの酸化」



こんにちは。 MICHIGAMIワインの道上です。

最近日本では業者が商品の回転ばかりを考えるゆえ
寝かせる(保存をする)余裕が有りません。

ボルドーに多いカベルネ・ソービニヨンというぶどうの品種は
寝かせる必要がある物が多く、(特に質の高い物)
その為か最近は寝かせる必要のあまり無い 
ブルゴーニュに人気は移動しています。

しかしレストランのシェフ達は料理とのマッチングを考えると
味を引き立て易いカベルネ・ソーヴィニヨンを好むようです。

難しいことはさておき、酸素に触れるということは
栓を抜いた後は勿論ですが 急激に温度が上がると
ワインが膨張して酸化の要因になります。

ワインが膨張しその後収縮する際に新たな空気が入り酸化しやすくなります。
暑い所だと熟成が早まります。それは良い場合も悪い場合もあります。
じっくり長期熟成には良くありません。

反対に若いワインを無理やり熟成を早める等という方法も有ります。
しかしこれは難しいです。

湿気が無いと乾燥したコルクから空気が入り酸化が進みます。
振動が有るとじっくり熟成出来ません。

おりの沈殿したワインが更に濁ると言う面も有りますが、
中の空気と必要以上に混ざり酸化すると言うことがあります。

その昔樽のワインを船に積み外海でどんぶらこ、どんぶらこと樽を揺らし熟成を早めるという事をやっていた時代もありましたが、これはあくまでも度数の強いワインのみです。

でなければデリケイトなワインは味が壊れてしまいます。

明るいと酸化が早まります。(だから濃グリーンのビンが多い)窮屈と言うかよどんだ空気ではなく 風通しが良い方が有難い。

ところで長く暖かいところにあったワインは一旦寝かせた状態で冷やすと (締めれば)よみがえる場合が結構あります。ぜひお試し下さい。
あくまでも古過ぎないワインの場合です。

一度開けたが飲み切れずと言う方も多くいらっしゃいますね。

そういった場合バキュウムで真空にすれば2~3日は味が変わらない。
確かにそうなのですが香が飛びやすいことも事実です。
そういう場合は予めハーフ・ボトルを用意して詰め替えることも良いかと思います。
僕が子供の時はビー玉を入れて空間をなくしました。 これも一つの裏技です。

当店のBag in Boxを毎週少しずつ飲んでみました。
開けてから1年半かけて飲み干しましたが最後までほとんど味が変わりませんでした。

コック(蛇口)からワインを出すたびに中のビニールが収縮して最後の1杯まで空気に触れないのです。 赤ワインの場合はここまで長く飲めましたがロゼなら3ヶ月、白だと1ヶ月ぐらいでしょうか。

先日フェイスブックで
「道上さんのメルマガを読んで、ワインセラーを買うのはやめることにしました」 というコメントをいただきました。
ワインセラーがないとワインが保管できない、だからワインが買えない、
と思っている方が結構いらっしゃる。
ワインセラーとか大そうなことはあとまわしにしてまずは飲みましょう、気軽に!


※Bag in Box
ビニールバッグBagに空気が入らないように 詰めたワインを紙の箱Boxに入れたもの



【 道上 雄峰 】
幼年時代フランス・ボルドーで育つ。
当時日本のワインが余りにもコストパフォーマンスが悪く憤りを感じ、自身での輸入販売を開始。




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「ソムリエの追言」

バックナンバー( 最新5話分)

■コルクを抜くまでの保存方法や温度管理は?

ワインセラーは保存に適していない?
窮屈すぎるワインセラーの空間、その理由は・・・。

■ワインの上手な購入方法を教えて!

よくある質問の一つ、ワインはどんなお店で買うのが良いのか。
コストパフォーマンスの良い仕入れとは?
沢山種類を置いてあるお店のワインは高い?その理由とは・・・。

■ワインはご飯のようなもの?

フランス人は多くの日本人が毎回違ったワインを首をかしげながら飲む姿を見てびっくりしています。
日本人は毎回毎回違うお米を買うでしょうか?多くの方はお好みのお米があります。
同じようにワインも同じものを飲み続けることでワインに対する基準ができるようになります。

■ボルドーとブルゴーニュ

日本ではボルドーとブルゴーニュはフランスの2大生産地として、ワインの双璧のように言われていますが、実際のところは?ヨーロッパでのブルゴーニュの赤ワインの評価は?

■ワインは栓を開けてからどのくらいの時間美味しく飲める?

ワインや好みによりますが、一般に売られているワインなら30分位といったところでしょうか。しかし、カベルネソーヴィニョンの割合が高いものは2時間位経ったほうが美味しい場合が多く、何と開けてから翌日の方が美味しくなっているワインも??

■ボルドーの赤ワインは他と何が違うのでしょう?

ワインの歴史、生産量、どれをとってもボルドーは世界を圧倒しています。
フランスにとってそしてヨーロッパの歴史においてボルドーは大変重要な都市です。
フランス史上2度もボルドーに首都が置かれたことをご存知ですか?

ソムリエの追言「ワインの名前の意味」


ソムリエの追言
「ワインの名前の意味」



以前ワインの名前にいくつかパターンがあるということを書かせていただいたことがあります。 今回はその名前にどのような意味があるかについて書かせていただこうと思います。


【ワインの名前の意味
皆様そのワインがどうしてその名前になったか考えた事はありますでしょうか。
日本のワインですと想像がつきます。 甲州と書いてあれば山梨県でつくられているワインか、甲州種のブドウからつくられているワインの意味です。

フランス語ですと少し難しいですね。 意味を調べてみると「なるほど」と思うものが多く、複雑なワインの名前の理解に 一役買ってくれるかもしれません。

ところで世界のワインには何種類位名前があるのでしょうか。
色々調べているのですが、具体的な数字は中々見つかりません。

例えばフランスのボルドーだけでも1万以上の生産者がいると言われていて、 生産者によっては数種類のワインをつくっている場合がほとんどなので、
その数は3万種類以上と言われています。

フランスやイタリアでは20万種類以上のワインがあるとも言われています。
両国とも世界の生産量の20%以上を占めていると言われていますので、単純計算で100万種類のワインがある計算になります。 それだけの種類のワインがあるので、中々覚える事はできません。 今回はフランスのワインの中でも名前が面白い物をいくつか取り上げてみようと思います。


【黄金の雫
世界最高の白ワインの1つであるブルゴーニュのムルソー村に「グットゥ・ドール」と名づけられた畑があります。 意味はその味にふさわしい「黄金の雫」の意味です。

辛口の白ワインなのですが、 色を見ると甘口の貴腐ワインと間違えてしまいそうな色の濃さです。 ひょっとすると辛口白ワインの中では1番色が濃いかもしれません。

かの有名なアメリカ独立宣言の起草者、第3代大統領のトーマス・ジェファーソンもこのワインがお気に入りだったらしく、アメリカでもこのワインは人気があるそうです。

世界最高の白ワインを産出するムルソー村のワインですが、 この村には不思議と1番高い格付けの特級畑が1つもありません。
グットゥ・ドールも特級畑の1つ下にある1級畑の格付けです。

どうしてかと言うと畑の格付けが決まる時、 生産者の一部が税金が高くなるから反対したらしいのです。 税金が高くなると当然ワイン1本1本の値段も上がってしまいます。 結局はそれが消費者の負担になる事を良く思わなかった生産者のおかげで、ブルゴーニュの他のワインに比べてまだ値段が高騰していません。

高騰していないと言っても大人気のワインです。
トップ生産者、例えば「コント・ラフォン」がつくる グットゥ・ドールは近年の良い年の物ですと、数万円してしまいます。 近年ですと1990年、1997年、1999年がムルソーの当たり年と言われています。

お客様に何度か試飲させていただいた事があるのですが、 甘口のワインと同じ位エキス分が高いからでしょうか。まずその粘性の高さに驚かされます。 飲んだ時の舌触りも蜂蜜を食べた時みたいにトロリとしているんです。

飲み込んだ後には、ハチミツやバターの風味がいつまでも口の中に残ります。
この時どうしてこのワインがグットゥ・ドールか理解できた気がします。


【シャンベルタン】
優しい味わいの赤ワインが多いブルゴーニュの中でも、ジュヴレ・シャンベルタン村のワインは渋み成分が多いワインとして知られていますが、 中には優しい味わいの物があります。「シャルム・シャンベルタン」です。 シャルムの意味は英語で言うところのチャーミングです。

そしてシャンベルタンの意味です。13世紀にある1人の農夫、ベルタンさんがジュヴレ村にやってきました。 ジュヴレ村で土地を買って畑を開墾したのです。
やがてその土地は、ベルタンさんの畑を意味する「シャン・ド・ベルタン」と呼ばれる様になり、次第に「シャンベルタン」と呼ばれるようになったそうです。 そしてジュヴレだった村の名前が、ベルタンさんの造るワインがあまりに素晴らしかったため、今では村の名前まで変わってしまったわけです。

ジュヴレ・シャンベルタンには果実味が豊かなワインができる「グリオット・シャンべルタン」と言う畑もあるのですが、グリオットはサクランボの種類の1つです。

まだ軽井沢で働いていた時、業者の試飲会で、シャルム・シャンベルタンと、グリオット・シャンベルタンが飲める機会がありました。場所は長野県の松本です。 同じ長野県と言っても広い県、都市部と違って交通の便もあまり良くなく、電車で行くと2時間かかってしまいます。

当時働いていたレストランは仕事もいそがしく、週1日の休みだったため休みの日は体を休めたかった所ですが、自分では中々手が出せないワインが試飲できるせっかくの機会、体に鞭打ち片道2時間かけて行きました。

その試飲会で飲めるワインは、もちろん2種類だけではありません。ジュヴレ・シャンベルタン村で1番評価が高い特級畑のシャンベルタンもありました。 しかもトップ生産者のクロード・デュガです。
3本買うと10万円は間違いなく超えます。
週に1度の休みにわざわざ来たかいがあります。

そのどれも間違いなく美味しいのですが、
飲み比べてみるとどれがどのワインか面白いぐらい分かるんです。

シャンベルタンはスケールが大きく、まるでボルドーワインと間違えてしまいそうな位渋みが強く、シャルム・シャンベルタンはその名前の通り、渋みはあまりなくブルゴーニュらしい繊細な味わいです。シャルム・シャンベルタンは言われなければ、この村のワインと分からないかもしれません。

グリオット・シャンベルタンはひょっとすると味よりも香りに特徴があるかもしれません。香りのテイスティング用語でも「グリオット」があるのですが、本当にグリオットの香りであふれています。他のシャンベルタンにもグリオットの香りがありますが、グリオット・シャンベルタンの香りは別格です。この辺りがグリオットと名づけられた所以でしょうか。


【憂鬱よさようなら】
某有名マンガにも取り上げられたボルドーのワイン 「シャトー・シャス・スプリーン」
この意味は「憂鬱よさようなら」ですが、 元々のシャトーの名前は、 人の名前からつけられていて、「グラン・プジョー」であることはあまり知られていません。偉大なプジョーさんのお城と言った意味です。

それがなぜシャス・スプリーンに変わったかと言うと、19世紀に詩人のシャルル・ボードレールが書いた スプリーンと言う詩から引用したと言われていますが、実はもう1つの説もあります。

ワイン愛好家のロード・バイロン(イギリスの詩人)がこのシャトーを訪れてワインを飲んだ時に、「憂鬱を取り除くには、このワイン以上の物はない」と言った記録があるそうです。 ロード・バイロンも何かつらいことがあったのでしょうか。ひょっとするとつらい時にお酒を飲んで忘れようとするのは、世界共通なのかもしれません。

ワインの名前からその味を求められたり、逆に味わいからその名前がつけられたり、どちらもあり得ると思います。どうしてそのワインがその名前になったか、考えながら飲むとワインが一際楽しくなると思いませんか。

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